“ 自分の専門性を、社会の価値に変える機会と出会った。 ”
受講生インタビュー
“ 自分の専門性を、社会の価値に変える機会と出会った。 ”
Kuniko Kagenishi
大阪公立大学大学院 博士前期課程1年(受講当時)
看護師として足のケアを専門に医療現場で経験を積み、大学院で研究を続けながらCVCCに参加した蔭西さん。現在は、CVCCで自ら企画した足のケア専門サロン「VISOK」を開業し、医療の知識と技術を一般の人の健康に活かす取り組みを行っています。
私はもともと看護師として、糖尿病患者の足のケアなど「足病変」と呼ばれる分野に関わる看護の仕事をしてきました。医療現場では、足のトラブルが原因で生活の質が大きく変わる方も多く、日々のケアや予防の大切さを強く感じていたのです。ただ、その知識や技術は病院の中だけで使われることが多く、一般の人に届いていないことにもどかしさも感じていました。
そんな中、大学院で研究を続けている時に紹介されたのがCVCCのプログラムです。最初に興味を持ったのは、一期生の募集だったこと。さらにこの時のテーマが「福祉機器」だったこと。私の中で勝手にご縁を感じてしまったのですよ(笑)。また、医療の専門性を社会の中でどう活かすのか、ビジネスという視点から考えるプログラムだと聞いて「挑戦してみよう」と参加を決めました。このプログラムなら、自分が持っている医療の知識や技術を社会にどう届ければいいのか、そのヒントを得られるかもしれないと思ったのです。


CVCCに参加して最初に感じたのは、「同じ言葉を使っているのに、伝わり方が全然違う」ということでした。医療の現場では当たり前に使っている言葉や考え方が、一般の人にはほとんど伝わらない。自分ではわかりやすく説明しているつもりでも、相手からすると難しかったり、イメージができなかったりする。そのギャップに最初は戸惑いました。でも、今振り返ると、それが一番大きな学びだったのではないでしょうか。専門家として正しいことを知っているだけではなく、それを「どう伝えるか」「どう届けるか」を考えることが大切だと気づいたんです。
CVCCのプログラムの中では、自分の専門分野をテーマに、どんなサービスが社会に必要とされるのかを考えていきました。その過程で、推進役を務める講師の高橋さんとも何度もセッションを重ね、「医療とビジネスは考え方がこうも違うのか」ということにも気づかされました。とくに、医療の世界では、少しでもリスクがあるならそれを避けていくことが正しい判断です。でも、ビジネスの世界では、ある程度のリスクを受け入れながら前に進むことも必要になる。その違いを実感したことで、自分が本当に価値を届けたい相手は誰なのか、その人をどう喜ばせたいのかを深く考えましたね。
結果、ビジネスだけでなく、自分の価値観や仕事のあり方についても改めて考える8週間になったと思います。とくにプログラムの集大成である最終プレゼンでは、最初は私には理解ができないと思ったビジネスの視点も取り入れることで、「医療の専門性とビジネスを掛け合わせた足のケアを専門にしたサロン」という私ならではの企画の提案ができたのではと思います。


じつは、8週間のプログラムが終わった後、私は「やり切った」という思いがあり、起業に関してはまったく考えていませんでした。しかし、CVCCで学んだこと、その後の講師との面談を通じて気づいたのだと思いますが、精神論だけでは何もできないということにも、自分でもびっくりしてしまう(笑)。また、周囲に関しては自信があったものの、サロンの開業や経営に関してはまったく経験がなく、不安が大きかったことも事実。そうした私に高橋さんは半年間の伴走を続けてくれました。ビジネスやブランディングに関するアドバイスをしてくださるだけでなく、CVCCでの「こうすすめよう」と同じように背中も押してくれました。
現在のお客様は40代から50代以上の女性が中心で、足のトラブルが深刻になる前の段階でケアを受けに来られる方もいらっしゃいます。医療現場では症状が出てから対応することが多いのですが、サロンでは「予防」という視点を持てることで、私も看護師としてのやりがいを感じています。もちろん、サロン運営は簡単ではありません。事務や経理なども、毎日が日々勉強の連続で。それも、お客様が喜んでくださったり、「足が楽になった」と言ってくださるとき、CVCCの経験がなければ、医療の知識を社会の中でこういう形で活かせるという発想にはたどりつかなかったかもしれません。
最後に、私から伝えられることがあるとすれば、CVCCは、自分の専門性や興味を社会とつなげて考えることができる場所だと思います。最初からビジネスの視点を持たなくてもいいんです。むしろ異なる分野の人と対話することで新しい視点が加わることがCVCCのよさなのですから。最初は不安や戸惑いもたくさんあると思いますが、参加してみて、自分の世界を少し広げることができたらと思います。もしピンと来るものがあるなら、ぜひ挑戦してみてほしいですね。

推進役の講師は、自分にはない視点を見せてくれる存在でした。医療の世界で長く働いてきた私は、どうしても専門職としての考え方に偏ってしまうところがあります。でも講師の方は、もっと広い視野で物事を見ていて、「それは社会の中でどう価値になるのか」という問いを何度も投げかけてくれました。時には意見がすぐに一致しないこともありましたが、それも含めて自分の考えを整理するきっかけになりました。違う分野の人と対話することで、自分の専門性を別の角度から見直すことができたのは、とても大きな経験だったと思います。