“ 大学では得にくい経験が、視点と自信をくれた。 ”
受講生インタビュー
“ 大学では得にくい経験が、視点と自信をくれた。 ”
Kana Kanazawa
大阪芸術大学3年(受講当時)
大阪芸術大学でグラフィックデザインを学んでいた金澤さん。CVCCを受講したのは、就職活動を直前に控える大学3回生の時でした。現在は東京で雑貨ブランドのデザイナーとして勤務しています。
参加したのは、大学3回生の秋頃になります。ちょうど、周りの友人たちがインターンシップや就職活動を始めるなかで、私は「何から手をつければいいんだろう」と迷っている時期でした。デザインは好き。ものづくりも好き。でも、それを仕事として選ぶとなると、「本当にやっていけるだろうか…」と弱気になってしまう自分もいたのです。そんな時、授業でお世話になっていた先生から紹介されたのがCVCCでした。
「井筒八ッ橋本舗さんと新しいお菓子を開発し、パッケージも含めて提案する」というテーマを聞き、もともとお菓子やパッケージデザインに興味があった私は直感的に惹かれました。さらに、この時のCVCCは大阪市立大学の学生も参加すると知り、専攻分野が違う異なる他大学の学生や企業の方々と一緒に活動できる点も魅力に感じました。大学の中だけでは完結しない挑戦をしてみたいという思いもあったのです。授業の課題や就職活動と並行して8週間も取り組むことができるだろうかという不安もありましたが、それ以上に楽しみのほうが大きくて、気づけば応募していました。
プログラムが始まると、最初の壁がすぐ現れました。私はこれまで、授業の課題に挑戦する際も「自分がつくりたいもの」を形にすることが多かったのです。でも、CVCCでは推進役を務める講師の高橋さんから「それは誰に、どう届くの?」と問われ続けます。誰を喜ばせるために八ッ橋をつくるのか。自分の頭の中で、デザインのことだけを考えても答えは出ません。困った私は、一緒に暮らす家族に八ッ橋に関する質問をしてみました。すると、「食感は好きだけど、香りが苦手…」という答えが返ってきたのです。さらに、プログラムの参加者にアンケートを取ってみると、ここでも八ッ橋が好きな人からも苦手な人からも、食感に対しては好印象な意見が集まりました。
そこで私は、自分の家族を具体的な顧客としてイメージし、八ッ橋の「食感」にフォーカスした新商品をつくることに決めました。高橋さんも私の企画を「面白い」と言ってくださり、ようやく次のステップへ。しかし、ここでもまた私の前にいくつもの壁が現れます。今度は、新商品の届け方です。大学の授業でも販売方法まで考える機会はほぼないですし、パッケージの色や形も、自分の感覚で決めてしまう癖が抜けません。そういう時、高橋さんから「この商品は、どういう売場に置かれるんだろう?」といった現実的な質問が飛んできます。その答えを考えていくうちに、「そうか、どう見えるかじゃなく、どう見いだされるかということが重要なんだ」と自分の中に新たな視点が生まれてくるのです。
その後も、「この名前で伝わるかな?」「このパッケージのコストはどのくらいかかるだろう?」と今まで考えたこともなかった角度の質問が飛んでくる度、私の中に新たな視点がどんどん増えていきました。そして、「八ッ橋食感研究所=ヤツケン」の企画がかなり具体的になったところで、井筒八ッ橋本舗さんに提案する最終プレゼンの日を迎えることに。当日は本当に緊張しましたね。十数名の大人が並ぶ中、どう話したらよいか不安でしたが、高橋さんと企画書を何度も推敲して仕上げたしたし、発表の練習も何度も繰り返し行ってきた。今思うと、この経験が大きな自信となり、就職活動の面接でも堂々と話すことができてきたと思います。
また、最終プレゼンの場では他の参加メンバーの発表も聞くことができて、それもすごく刺激になりました。それぞれ何だろう、その場で井筒八ッ橋本舗の津田社長が「このヤツケン、やろう」と言ってくださったのが本当にうれしかったです。正直、最初は「8回で終わり」だと思っていましたし、商品化なんて想像もしていませんでした。しかし、わからないながらも自分の気持ちを大切にし前にすすむことができたし、推進役の高橋さんや周囲の大人たちが道のりの途中を押してくれる、受け手だったながらのCVCCを卒業して、「自分が動けば世界が変わる」という実感を得たことは一番の成長だと思います。
その後、大学4回生の春以降、実際に社会実装のプロジェクトが動き出しました。半年に一度のペースで京都の店舗に集まり、試作品をつくって、試食し、またつくる。研究開発や商品企画の方々も加わり、私も参加できる時はさまざまなデザイン案や商品アイデアを提案しました。その結果、「八ッ橋の皮を透明にして中身が見える」食感の魅力がもっと伝わるように、という発想は採用され、新商品として店頭にも及びました。大学の授業では「講師の指示で」終わってしまうことがあいけれど、CVCCでは「世に出る」ところまで見える。この経験は、他では代え難いと思います。
現在は、雑貨ブランドのデザイナーとして働いていますが、社会に出て改めて、CVCCで学んだこと、高橋さんから言われ続けたことが身をもってわかります。「顧客の価値を想像し、創造する」。本当に、これが仕事の中心なんだと思います。あの8週間で手に入れた視点が、今の自分のまま活きていますし、だからこそ、自分のアイデアを「人に届く形」にする力を持った上で、社会にでていく。そのプロセスの中で学ぶことは、大学の中だけでは学べないことだらけです。推進役の講師も伴走してくれる環境も整っているので、少しでも興味が湧いたら、ぜひ挑戦してみてください。
高橋さんは、視野を広げてくれる存在。アイデアが散らかった時に、否定して止めるのではなく、「それ、誰に届く?」と問いを立て直して、企画の中心へ連れ戻してくれる。大学では"作品"として成立すればOKになりがちだけど、社会では"届いて初めて価値になる"。その当たり前を、言葉と具体で何度も見せてくれました。だから私は、思い切って提案できたし、途中で迷っても前に進み続けられたんだと思います。